ファゴット奏者 水本芳枝

市販の完成リードを選ぶ際のポイント☆お店で試奏編

ファゴットの一番の悩みって私はリードだと思うんです。

いや、ファゴットだけじゃないか…。

リード楽器は常にリードに悩まされているといっても過言ではないかもしれません。
調子悪い時はとりあえずリードのせいにしとけ、とか。ごめんなさい。


特にダブルリードは自作されている方も多く、「リード作れなきゃ一人前じゃない」みたいな空気を出す方もいらっしゃいますが、決してそうではありません。
リード、作れなくても大丈夫です。
とっても良い完成品リードが世の中にはたくさんあります。
私も今は自作リードだけでやっておりますが、それは8年前に演奏活動を再開してからのこと。

あ、そうなんです。私は出産育児を機に数年音楽活動を休んでいました。
その時の経験から今を思うと、今もし楽器が吹けなくてどうしようやる気が出なくてどうしようと悩んでいる人がいたら、大丈夫だよって言ってあげたいです。それはまた別の機会にね。


話を戻します。

この話何度も書いているかもしれないのですが(過去は振り返らないのであんまり覚えてないけど)、同じこと書いてたらごめんなさい。
私はリード自体は高校生から作ってみてました。
リードを組むところまではできるんです。しかしその先ができない。
いくら綺麗に糸が巻けても、見た目が綺麗でも、削りが駄目なら駄目。使い物になりません。
高校、大学と削り方まで教えてくれる人がおらず、ただただ材料費だけがかさんでいく現状に貧乏学生だった私は耐えられず、「使えるリードがすぐにいるのにこんなことやってられるか」とさっさと諦めました。(笑)
よく「リードはバケツいっぱいになるぐらい削ってようやく使えるものが出来てくる」なんて言いますが、そんな金ありませんので!

当時市販のリードで気に入っているものもあったので、同じお金ならそちらに使ったほうが良いと判断してリードづくりはやめてしまったんです。
楽器店でバイトさせてもらったりもしていたので、市販のリードは比較的手に入りやすい状況にありました。

そこからなぜ自作一本に変えたかは、
多分過去のブログのどこかに書いてあるので探してみてください。


さて、ようやく本題です。

市販のリードはどこで買いますか?
試奏のできる楽器店が行動範囲内にある場合は、そういったところで試奏して買うのがベストだと思います。

次におすすめなのは、気に入った製作者さんのリードを直接購入する。この場合大抵通信販売でしょう。通信販売の場合は製作者さんから直接買ったほうが安い場合がほとんどだと思います。

安ければ良いということでなく、できるなら試奏して買えるほうがずっと良いです。
なので、リードを試奏させてもらえる楽器店で買うのが一番おすすめです。

ただ、どちらにしても自分自身でリードの微調整ができるようにしておくと良いでしょう。
これが出来ると出来ないのとでは大きな差があると思います。

リードは作れなくてもいいけど、微調整の知識は必要と言ってもいいかもしれません。
プロの方にレッスンを受けている人は、折角の機会なのでぜひその辺まで教えてもらいましょうね。


それでは、市販リードの購入や楽器店のバイト経験なども経て私が思う
「お店で試奏して買う場合」「通信販売で買う場合」
のポイントをそれぞれ書いてみたいと思います。

※これは私の主観に基づいて書いていますので、鵜呑みにされませんようお願いします。。。


◆お店で試奏して買う場合のポイント

・なるべく全部の在庫を出してもらおう

リードによっては店頭に並んでいる以外にも在庫を持っている場合があるため、ダメもとでお願いしてみてください。嫌な顔されても気にしない心の強さが必要です。大丈夫、みんな優しいから。
店頭に並んでいるものはどうしてもいろんな人が吹いているので少しずつヘタってきているものも混ざってしまっています。私の経験上、在庫があるなら全部出してもらったほうがヒット率高めです。


・すぐに使い物になりそうなリードを選ぼう

「市販リードを買う際も微調整の知識はつけておけ」と書きましたが、試奏して選ぶ際はなるべくその手間が少なくて済むリードを選ぶべきでしょう。そのために試奏してるんですからね。そういったものを選ぶようにすれば、微調整が必要になった時も最低限で済みます。

ポイントとしては、ワイヤーの微調整だけで済みそうかどうか。(ワイヤーの微調整についてはまた後日記事にします)削るところまで手を入れないとすぐに使えなさそうなものは、削る調整に慣れていないうちは買わないほうが良いです。
ちなみに言うまでもありませんが、試奏中にリードを勝手に削ったり調整してはいけません。買ってからやりましょう。


・見るからに古そうなリードは選ばない

たくさんの人が試奏し買わずに売れ残ったリードは、たとえその時吹きやすいと思ったとしても寿命がとても短いです。
実際購入したら試奏の数倍は吹き倒すわけで、最悪1日で終了してしまう可能性があります。
個人的には「見るからに」どころか「ちょっとでも」古そうなリードは買わないほうが良いと思います。少しでも長く使いたいですもんね!
「古そうな」だけじゃなく、なんか見た目的にひっかかるわぁ…というリードは買わないほうが吉、かも。

あとこれ書いていいのかわからないけど、試奏後の消毒を繰り返すたびにリードの状態って変わっていくような気がしてます…。私はね。
数回ならいいんだろうけど、売れ残ってるものはかなりやってるはずなので。(オゾン水は使ったことないのでわかりませんが)


・音程の取りにくいリードは選ばない

音色や吹奏感が気に入ったとしても、特定の音のピッチが悪かったり音程が取りにくいと感じるリードは大抵それ以上良くならない可能性が高いどころか、古くなってくるとどんどんピッチの悪さが目立ってきます。無理やり上げたり下げたりするのが好きなドM体質の方以外は選ばないようにしましょう。


・「Eの音が下がる」リードは選ばない

「Eの音が下がる」理由には2通りあると考えています。

①ハート(リードの真ん中部分)が薄すぎる場合。ちなみにここをギリギリまで追い込むのが私は好きですが…。
②リードが古くなって張りがなくなってしまった場合。

どちらの場合も対処法は先端を切るしかありません。厳密にはそれだけではないですが…。(ハートが他の部分より厚ければ良いので、サイドなどを削っていけば改善される可能性もなくはない、でも結構難しい)

先端を切ったらそれでいいのかというと、確かにEの音程は改善されるかもしれないけど、ブレードの長さが変わるのでリードのバランスが変わり吹奏感や他の音のとり方なども違ってきます。あと、そういうリードっていくら先端切ってもどこかほころびが出てきてしまうんですよね。

わざわざお金出して出来上がっているリードを買うのに、音程が悪いものを買うなんてナンセンスです。そういったリードしかない場合は買わないほうが良いでしょう。

私がリードを作る際、Eが下がったものは容赦なくサヨウナラです。新品であっても張りのないリードである可能性が高く、そういったものは寿命が短いため。
古くなって下がってしまったものも同様にサヨウナラ。

ちなみにEって下から2番目のEです。なんて言えばいいのこれ。E2?


・なるべく「左右対称」なリードを選ぼう

「なるべく」って書いてしまってるのは、本来それがベストなんだけど、微妙に対称でなくても良いリードが出来てしまうときがあるので…。でも見た目にバランスの良いリードは長く使える可能性があるので、せっかく見て選ぶことができるならそういったものを選ぶと良いです。

削ってある部分を光に透かして全体のバランスを見たり、先端の開き具合が左右対称か、指で先端の上下を挟んでゆっくり閉じていったときに左右同時に閉じていくか、というところがチェックポイントです。
先端を閉じる時は必ず湿らせて。あと強い力でやると調整が狂うのでそっとやってください。

まあでも、ほんのちょっとの非対称だったら一度吹いてから判断しても良いと思います…。


・なるべく「息漏れの少ない」リードを選ぼう

リード自体から息が漏れるようなものはあまり良いリードとは言えません。

チェック方法→リードを湿らせた状態でチューブの端を指で閉じ、リードの先端をくわえてリードの中の空気を強めに吸い込み(リードの中の空気を吸い込んで抜くイメージ)、先端が閉じたら口から離す。

この際リードの先端がしっかり閉じ、時間差で「ポン」と開くようなら息漏れの可能性は低いので合格。

リードのどこかで気密性が損なわれ空気が漏れている場合、吸い込んでもリードの先端がなかなか閉じてくれませんのですぐにわかります。そういうものは買わない方が良いです。


※8/23追記
・ダイナミクスの差をしっかりつけられるリード、特にpp(ピアニシモ)が楽に出るものを選ぼう

特にオケで演奏する機会が多い方は、ppが発音しやすいかどうかをしっかりチェックしたほうが良いでしょう。


思いつく限り書いてみましたが、上記が「最低限押さえておきたいチェックポイント」だと私が個人的に思っていることです。

実際音を出してみないとわからないところは当然ありますので、一通り吹いてみてからチェックしていくのもアリでしょうし、最終的にはフィーリングかなと。


やはりリードを選ぶのに試奏できること、これの上を行く選び方はないと思います。
今は感染症などの心配があってなかなか難しいかもしれませんが、可能ならばぜひ試奏して選んでください。



長くなってしまったので「通販で買う際のポイント」については次回のブログで!

ワイヤーの微調整についても次回書けたらいいなと思います。

ではまたね!

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